【決算書から紐解く】「アマゾンキラー」の異名を持つShopifyの成功の秘訣を解説
Shopifyは世界175か国、100万店舗以上で利用されていて、「アマゾンキラー」とも呼ばれています。
なぜShopifyがアマゾンを超えつつあるサービスになっているのでしょうか。本日はその成功の秘訣について、2021年2月17日に発表された決算書から紐解いていこうと思います。
- Shopifyが気になる方
- ECサイトを運営したいと思っている方
- Shopifyの成功の秘密を知りたい方
これらに当てはまる方におすすめの記事となっています。これを読めばShopifyの人気の秘密が丸わかりですよ。
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Shopifyとは?
Shopifyとは2014年にカナダで誕生したECプラットフォームです。簡単に本格的なECサイトが作成できるとあって近年人気になっています。
デザインを豊富なテンプレートから選ぶことができ、3200種類以上あるアプリから機能の拡張をすることも可能。他のサイトとは一味違ったオリジナルのECサイトを作ることができますよ。
そんなShopifyは月額制のサブスクリプション型のサービスです。月額29ドルからネットショップを始めることができ、決済手数料も業界最安値と言われています。
2020年ブラックフライデーではAmzon超え!
Shopifyは2020年のブラックフライデー、サイバーマンデーのセールにおいて総売上高50億ドルを獲得しました。
これはAmazonマーケットプレイスの売上高を超える数値となりました。
ブラックフライデー、サイバーマンデーとは、アメリカの感謝祭の後の金曜と月曜に行われるセールの日のこと。
このブラックフライデー、サイバーマンデーで、4400万人を及ぶ人がShopifyのショップから商品を購入したとのこと!前年比76%も拡大した結果になりました。
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アメリカEC市場2位
Shopifyの2020年のEC市場売上シェアはAmazonに続く2位となっています。
決算書のデータから読み解くShopify
Shopifyの2020年決算が2020年2月に発表されました。
売上は驚異の86%増
Shopifyの2020年の売上は29億2900万ドルでした。
これは驚異の前年比86%増。
新規のユーザーを獲得
毎月決まって発生する売上を示すMRR(月間経常収益)は8260万ドルで前年比53%増となりました。
このMRRが右肩上がりになっていることから、新規のユーザー数が増えていることが分かりますね。
ユーザーも定着している
こちらのグラフでは、ユーザーがShopifyを登録した時期ごとにグループ化をし、ユーザーがどれだけ定着しているのかをみています。
このグラフによると緑の2018年以前のユーザーがしっかり取引高を獲得していることが分かります。
Shopifyはしっかりユーザーが定着しており、年々取引高が上がっていくビジネスだということがわかります。
販売手数料でも売上を獲得
ShopifyのようなSaSS型のビジネスモデルでは、月額の料金と販売手数料が主な売り上げになります。
先ほどのMRRでは月額費用での売上をみていきましたが、販売手数料での売上はどのようになっているでしょうか。
このグラフでは、売上の内訳が明記されています。濃いグリーンはサブスクリプションの売上で先ほどのMRRを表しています。
薄いグリーンは、手数料収益を表しています。この手数料収益は20億2百万ドルで、グラフをみてわかるように前年と比べ大きく増加しています。
手数料収益をしっかり獲得していることからECサイトの取引が盛んになっていることが分かりますね。
純利益は黒字に転じる
Shopifyの純利益の推移は以下のようになっています。
2017 | -4千万ドル |
2018 | -65百万ドル |
2019 | -1億25百万ドル |
2020 | 3億19百万ドル |
例年赤字の純利益となっていましたが、今年は黒字決済となりました。
ShopifyのようなSaSS型のビジネスは初期にサービスの認知や事業規模拡大のために、マーケティングに多額のコストを費やす傾向があります。
それによって赤字決済が続いていたわけですが、今年は新型コロナウイルスによるEC市場の拡大と営業費用の削減の影響もあり黒字化しています。
次年度の純利益に関して注目していきたいところです。
2020年のShopify
このように純利益、売上ともに大きく飛躍した2020年でしたが、その理由はなんだったのでしょうか。
まず2020年はEC市場全体の需要が高まった1年でした。新型コロナウイルスによるパンデミックで、日常品などもECサイトで購入するようになったからですね。
国内のShopifyでは2020年に大手ECプラットフォーム楽天との連携がスタートしました。
さらに、アメリカでは人気のSNS、TikTokとの連携や大手スーパーウォルマートとも連携が開始されたのです。
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2021年のShopify
大きく成長した1年となったShopifyの2020年でしたが、2021年も引き続きこの動きは加速していきそうです。
例えば2020年に発表されたShopアプリ。2021年も引き続き、購入者の忠誠心と定着率を高める必須のショッピングコンパニオンに発展させていくとのことです。
このShopアプリは、ユーザーがShopifyストアで購入した商品の配送状況をチェックしたり、お気に入りのショップの情報をゲットすることができるアプリです。
ECショップでありがちなかご落ちを防止し、リピーターを増やす効果が期待できます。
また、ShopifyPOSの拡大に投資を行うとのこと。
ShopifyPOSは実店舗とネットショップを一括管理できるサービス。
オンラインとオフラインの良さをうまく取り入れることができるとあって注目のサービスとなっています。
2021年もShopifyの成長は期待できそうですね。
脱Amazonの動き
AmazonからShopifyに移行する企業も増えてきました。なぜ脱Amazonの動きが加速しているのでしょうか。
そもそもAmazonとShopifyはショップ運営の仕方が異なります。
AmzonはネットショップそれぞれがAmazonブランドを通して店舗展開を行っているショッピングモールのようなもの。
一方、Shopifyははネットショップ1つ1つがブランドで作成したサイトのため、デザインや販売の仕方がオリジナリティあるものになっています。1つの路面店のようなイメージです。
Amazonはモール自体に集客力はありますが、1つ1つのブランドの個性はつけにくい。
Shopifyは集客力はAmazonに劣るものの、ブランドの個性をつけられるのでリピーターを獲得しやすいのです。
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AmazonからShopifyへの移行は簡単
AmazonからShopifyへの移行はとても簡単に行えます。
移行方法は以下の通り。
- 管理画面で販売チャネルの横にある「+」ボタンをクリック
- ダイアログでAmazonを選択
- チャンネルの追加をクリック
- Amazonアカウントページで「Amazonに接続」をクリック
- 手順に従って情報をシェア
具体的な移行方法に関しては、こちらの記事で詳しく解説しているので、気になる方は合わせて読んでみてください。
ShopifyとAmazonは連携も可能
ライバルサービスとも言われるShopifyとAmzonですが、実はShioifyにて連携をさせることも可能です。
Shopifyの管理画面からAmazonでの商品ページを管理することができ、Amazonでの運営を行うことができるのです。
このように、Shopifyはマルチチャンネル対応が充実しています。
Shopifyで連携できるサービスは以下の通りです。(日本で連携可能なサービスのみ表示)
- 楽天
- Amazon
ショップをマルチチャンネル化することでそれぞれのプラットフォームでのお客様を獲得することができます。
当たり前ですが1つのサイトで運営するよりも、より多くの集客を得ることができるわけですね。
また、プラットフォームによっては、よりリアルな買い物体験をユーザーにしてもらうことも可能です。
オンライショップでのデメリットは、商品を直接見れないことで、「届いたら、想像していたのと違った」「サイズが合わなかった」ということですよね。
しかし、例えばShopifyで連携できるInstagramでは、ストーリー機能を使って、商品を動画で説明することができます。
さらに、ライブ機能を使えば、リアルタイムでお客様からの要望や疑問に答えることができるのです。
このように、ネットショップ運営にはマルチチャンネル化は必要不可欠なのです。
Amazonも黙っていない
Shopifyの驚異的な成長に対して、AmazonはShopifyに対抗する為の秘密組織を組成したとウォール・ストリート・ジャーナルは報じています。
Shopifyも先ほど言ったようにTikTokやウォルマートなどと連携を発表していることから、ますますこの戦いは続きそうです。
まとめ
いかがでしたか。本日はShopifyの成功の秘密に関して、決算書のデータを元に紐解いていきました。
売上が単純に伸びているだけではなく、ユーザーがしっかり定着している点、手数料収益も伸びている点がShopifyの成功の秘訣と言えそうですね。
それはShopifyがマルチチャンネル対応しやすい点や、TikTokなどの流行のSNSとの連携、すでにアメリカで大きなシェアを獲得しているウォルマートとの連携など、新しいサービスを続々と提供していることが理由と言えるでしょう。